最高裁判所第二小法廷 昭和40(オ)77 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告人指定代理人泉清、同永井孝二郎の上告理由第一点について。
被上告人に対する釈放遅延による本件違法な勾留継続を招くについては、上告人
東京都の担当警察官が検察官に対する送付記録中に「診察所見」と題して被害者の
体内に犯人の精液遺留があつたか否か疑わしいような記載のある医師作成の書面(
乙三号証)を添付しながら、犯人の遺留精液の血液型を明示した鑑定書その他の報
告書を右送付記録に添付しなかつたために、検察官においてこれを検討する機会が
遅れたことが一因をなしていて、右は当該担当警察官の過失によるものであるとし
た原審の判断は、その認定事実関係のもとで是認できる。
従つて、右警察官に過失がなかつたとする所論は、採用できない。
また、所論は、担当検察官が当時警視庁築地警察署に設置されていた捜査本部に
毎夜のように出入し、所論鑑定結果を含めた捜査全般の状況について連絡をうけ、
昭和三〇年七月一六日か一七日頃には被上告人の血液型と被害者より検出された遺
留精液の血液型とが一致せず、また、屋根に遺留された足紋と被上告人の足紋とが
一致しない事実を現認するなど、その捜査の全ぼうを把握していたから、仮りに担
当警察官から担当検察官に対する送付記録中に前示鑑定書その他の報告書が添付さ
れなかつたことが右警察官の過失によるものであるとしても、そのことと被上告人
の釈放遅延との間に因果関係がないというが、右所論の前提事実関係は、原判決が
認定判示していないことであり、原判決は、その認定の事情のもとで、右鑑定書そ
の他の報告書が送付記録に添付されていなかつたことが検察官の適切な検討の機会
を遅らせ、これが被上告人の釈放遅延の一因となつたとしているのであるから、ひ
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つきょう右所論は、原審の認定外の事実関係をもつて正当な原判決の判断を非難す
るにすぎないものであつて、採用できない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 奥 野 健 一
裁判官 城 戸 芳 彦
裁判官 石 田 和 外
裁判官 色 川 幸 太 郎
裁判官草鹿浅之介は病気につき署名押印することができない。
裁判長裁判官 奥 野 健 一
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